FXにおけるプロスペクト理論とは?損切りできない心理を徹底解剖

FX

トレードには心理的なハードルが存在することは、過去の記事でも多く触れてきました。その中でも今回はプロスペクト理論について解説していきます。

  • プロスペクト理論とは?
  • FXでプロスペクト理論を克服する方法は?

プロスペクト理論とは?

プロスペクト理論とは、ギャンブルなどにおいて人間が直感的に下す判断が、経済的合理性を欠いていることがある点を指摘した理論です。

プロスペクト理論は1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが共同で発表した「プロスペクト理論ーリスクある状況下での意思決定の分析(Prospect Theory. An Analysis of Decision Under Risk)」の中で提唱されており、現在でも行動経済学の基盤となっています。

ここでは、プロスペクト理論の内容をかみ砕いて説明していきます。

プロスペクト理論を体験してみる

例えば、以下のような状況を考えてみましょう。直感的に質問に答えてみてください。

Q1:あなたはどちらか1つを選ばなければなりません。どちらを選びますか?

  1. 確実に9千円を得る
  2. 90%の確率で1万円を得る

Q2:あなたはどちらか1つを選ばなければなりません。どちらを選びますか?

  1. 確実に9千円を失う
  2. 90%の確率で1万円を失う

おそらくQ1では「1」を、Q2では「2」を選んだのではないでしょうか?

Q1では、どちらも期待値が9千円にもかかわらず、確実に利益を得ることができる1を選ぶ人が大勢います。

一方でQ2は、多くの人が2を選択しやすいことが分かっています。これは、人間が確実に訪れる損失を非常に嫌う傾向を示しています。

これをトレードに当てはめると、

目の前の利幅を取りこぼしたくないから早めに利確してしまう(Q1)

損失が確定するのは嫌なので、損切りを後回しにしてしまう(Q2)

ということになります。

このように、FXにおいてもプロスペクト理論が大いに働いていることが分かります。

FXでプロスペクト理論を克服する方法は?

では、プロスペクト理論でFXを行ってしまうことを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?単刀直入に言うと、プロスペクト理論を克服する方法はありません。

人間である以上、心理的なバイアスが働いてしまうことは仕方のないことです。では、一流のトレーダーはどのようにして、プロスペクト理論による失敗を回避しているのでしょうか。

それは、トレードを自動化することです。トレードの自動化の種類には以下の2つがあります。

  • 手動メカニカルトレード
  • 完全メカニカルトレード

手動メカニカルトレード

手動メカニカルトレードとは、注文の発注や決済はあくまでも手動で行うが、トレードルールを完全に固定して運用するトレード方法のことです。

トレードを完全にメカニカルにするためには、MQL4のプログラミング知識が必要ということもあり、実行にあたり高いハードルが存在します。

そんな方は、まずは手動メカニカルトレードから始めてみましょう。

トレード手法を固定することで、トレーダー自身の主観が入り込む余地をなくすことができるので、プロスペクト理論による失敗を未然に防ぐことができます。

ただし注文決済の権限はトレーダーの手に委ねられているので、完全にはトレーダーの主観を遮断することはできず、結局プロスペクト理論に陥ってしまう可能性があります。

完全メカニカルトレード

一方で完全メカニカルトレードとは、注文の発注や決済もすべて自動で行うものであり、いわゆる自動売買にあたります。

完全メカニカルトレードでは、トレーダーの主観が入り込む余地がないので、プロスペクト理論による失敗を完全に防ぐことができます。

逆に言えば、プロスペクト理論による失敗を防ぐための唯一の方法が、完全メカニカルトレードです。

一方でMT4で作動する自動売買システムを作るためには、MQL4という独自のプログラミング言語を習得する必要があるため、エンジニア経験のないトレーダーにとっては敷居が高く感じるかもしれません。

まとめ

ここまでFXにおけるプロスペクト理論について解説してきました。本記事の要点は以下の3点です。

  • プロスペクト理論により、多くのトレーダーは目の前の確実な利益を取り逃すことを嫌う傾向がある
  • プロスペクト理論により、多くのトレーダーは損失を確定させることを嫌う傾向がある
  • プロスペクト理論による失敗を完全に防ぐためには、完全メカニカルトレードしかない
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