【書評】「ゾーン:相場心理学入門 」でFXへの考え方が変わった

FX

FXにしろ株にしろ、トレード手法に関する本や記事はあらゆるところで散見されます。

「勝率90%!!」「聖杯ありました」などのキャッチコピーで私たちのような初心者はまんまとトレードの罠に陥っていくのです。

結局紹介されている手法を使っても成績は改善せず、再び聖杯探しの旅に出かけるといった具合の人が多いのではないのでしょうか?

そんな迷える子羊たちに、「そっちじゃないよ」と道を正してくれる、まさにトレーダーにとってのバイブル、それがこの本「ゾーン:相場心理学入門」です。

もしあなたが

トレードのたびに冷静さを失ってしまう人

トレードで負けるたびに、手法を取っ替え引っ替えしている人

このままじゃダメだと、トレードに対する考え方を改めたいと思ってる人

なら、ぜひこの本を読んで見てください。

本の概要

本書は個人投資家向けの本の出版やセミナーを開催しているパンローリング社のウィザードブックシリーズから出版されてる本です。

本書は勝てる手法やテクニカル分析を紹介するような本ではなく、トレードに対する正しい向き合い方や考え方について、人間の本能にまで立ち返って分析し、その実践方法について解説する本です。

本書を読み進めていくと、途中から本質的な話に入り、何の話をしているのかわからなくなってしまう人も多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでいただきたいです。

もしそれでも理解できなかったら、もう1度、2度読んでみることをオススメします。体の芯に染みるようにわかる瞬間が来ます。

この記事では少しでもこの本を理解しやすくなるように、要点をまとめてみましたので、ぜひ最後までご覧下さい。

①トレーダーとしての責任を取る

確率的思考法に関する5つのエッセンス

③確率的思考法の身につけ方

①トレーダーとしての責任を取る

もしトレードでの経験を、恐怖から自信へと変えたいのであれば、そして自分の損益曲線を不規則な形から、堅調な右肩上がりへと変えたいのであれば、まずは責任を取り、マーケットが何かをしてくれるとか、何かをすべきだとか期待するのをやめなければならない。

ゾーン:相場心理学入門より

FXをやっている人間なら誰しも一回はこのようなことを思ったことがあると思います。

もし、すべてのテクニカル分析を完璧に使いこなせれば、トレードではほとんど負け無しになるはずだ!

これは感覚的には正しく感じますが、実際にはどれだけ最高の分析力と、最強のメンタルを持っていても、損失は必然的に訪れるのです。

つまり、どんな超人的なスペックを持っていても、値動きに関わるすべての材料を考慮することは不可能であると言うことです。

では、勝ち組トレーダーと負け組トレーダーでは何が決定的な違いなのか。それは、トレードにおいて損失は不可避であると心の底から理解しており、何の恐怖や葛藤もなくトレードを執行できる心理状態であると述べられています。

ではその「勝ち組トレーダーの心理状態」はどのようにして、習得することができるのか。その方法について語られた部分に移っていきましょう!

勝ち組と負け組を隔てている決定的な違いは、マーケットの分析能力ではなく心理状態

②確率的思考法における5つのエッセンス

では、「勝ち組の心理状態」とは具体的には何を指しているのでしょうか。本書では「確率的思考法」を身につけているかどうかが、大成できるトレーダーとそうでないトレーダーを分ける要素であると書かれています。その「確率的思考法」には5つのエッセンスがあります。

①何事も起こり得る。

②利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。

③優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。

④優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているに過ぎない。

⑤マーケットのどの瞬間も唯一のものである。

ゾーン:相場心理学入門より

①何事も起こり得る

マーケットの方向性を完全に把握することは不可能です。

マーケットの方向性を決める要素は「他のトレーダーたちの行動」であり、そのトレーダーたちが次にどのように行動し、その行動が次の自分のトレードにどのような影響を与えるかを事前に知る方法などありません。

1分足を基準にトレードする人もいれば、1週間足を基準にトレードする人もいる。一方で、ファンダメンタルズ分析のみでトレードする人もいる。取引数量も人によって違うことも踏まえると、「買い」と「売り」のどちらの勢力が強くなるかなんて、わからないよねえ。。

マーケットの不確実性を理解しているのであれば、事前にリスク額を定めずにトレードに臨むことはありえないですし、損切りをためらってポジションが仕掛けの位置まで戻ってくるのを祈ることもありません。

②利益を出すためには次に何が起こるかを知る必要はない

典型的な負け組トレーダーは、一つ一つのトレードで正しくあろうとします。

しかし、「何事も起こり得る」不確実性に溢れたマーケットでは、トレードで勝つのに値動きに関する知識や技術は必要はありません。

FX始めたてのころに、テキトーにエントリーしたらなぜか勝ったことがあるな、、、

より丁寧に言えば、どれだけ優秀な分析をしたとしても、最終的にマーケットがどちらに動くかは誰も知ることができないのであれば、そもそも一回一回のトレードの行方を知る努力をする必要がないということです。

次に何が起こるか知る必要がないということは、一回一回のトレードに余計な思い入れをもつこともなくなります。

皆さんはコイントスで「表」か「裏」を予想する際に、

今回は絶対に「表」が出るはずだ、、、そうに違いないんだ、、!

と思い詰めることはないでしょう。

なぜならコイントスの結果は予測できず、完全にランダムであると認めているからです。

事前に結果を予測することはできないという点で、一回一回のトレードに抱くべき思い入れは、コイン投げで「表」と「裏」のどちらが出るかを予想するときの思い入れと同一であるべきであると本書では述べています。

③優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する

トレード一回一回の勝ち負けはランダムに分布するはずです。

しかし注意しなければならないのは、たとえ優位性が機能しそうに無いと思える状況でも、ランダム性から優位性を導くためには、一貫したトレードを心がけなければならないということです。

この注意点をコイントスの方法で例えてみるね。

1〜100回目までは、10円玉でコイントスを行なっていたのにも関わらず、100回目以降はいきなり、紙で作ったペラペラのコインで施行し始めたら、大数の法則が崩壊しちゃうよね。

確かに!

④優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているに過ぎない

では勝ち負けがランダムなトレードにおいて、いったい「優位性」とはなんなのでしょうか。

それは、今までのマーケットの動向から考えて、今後マーケットが自分の賭けた方向に動く可能性が十二分にあるとわかっていることを言います。

つまり、勝ち負けがランダムに分布しているからと言って、全くもって自分の分析や推理によって次に何が起きるかを全く予想できないわけではないということです。

実際、テクニカル分析によって値動きを予測することはできますが、次も正確に予測できることを期待できないだけです。

袋の中に赤い玉3つ青い玉2つがあり、袋の中を見ないで1つだけ玉を取り出して、また元に戻すとする。

この時、赤い玉をとることに優位性があると言えるよね。普通に考えて、赤い玉の方が多いし。

だけど、今回赤い玉を取ったからと言って、次も赤い玉を取れるとは限らない。

でも、1万回同じ施行を繰り返したとき、赤の玉をとった回数の方が多くなっていることが予測されるよね。

それと同じ話をしているよ。

つまり、確率の本質を理解できたトレーダーは、「ミクロレベルでゲームの不確実性を信じ、マクロレベルでゲームの予見性を信じてる」と言えます。

⑤マーケットのどの瞬間も唯一のものである

確率的思考法を習得しているトレーダーは、各トレードや優位性は唯一のものであると心から理解しています。

マーケットにおいては、似た様なチャートパターンが頻繁に出現します。しかし、そのいずれのチャートパターンも全く同じに振る舞うことはありません。

なぜなら、「①何事も起こり得る」でも触れた通り、現在示されているチャートパターンが前回と同じ様に振る舞うためには、前回参加していたあらゆるトレーダーが、今回も一人も欠ける事なく、全く同じ様に振る舞う必要があるからです。

以上の5つがトレードに適した確率的思考法のエッセンスです。

③確率的思考法の身につけ方

では確率的思考法の5つのエッセンスをどのようにして身につければ良いのでしょうか。

本書では確率的思考法を身につけるための売買演習が設けられています。

簡単ではありますが、本書で紹介されている売買演習の概要を解説します。

売買演習の概要

この売買演習の目的は、トレードが確率のゲームにすぎず、コイントスを行うことやサイコロを振る行為となんら変わらないと確信することです。

①マーケットを選ぶ

売買演習をする市場を選びます。

市場は流動性が十分にある市場であればなんでもよく、どの通貨ペアを選ぶかはここでは問題ではありません。

②使用するテクニカル分析を決定する

使用するテクニカル分析は基本的になんでも良いですが、以下の要素を厳密に決定しておく必要があります。

  1. エントリータイミング
  2. 損切りのタイミング
  3. どの時間足を使うか
  4. 利確のタイミング

これらは全て一貫したルールである必要があり、トレーダーの主観が入り込まないように設計する必要があります。

③検証作業をする

テクニカル分析を決定したら、それがどのように機能するかを調べるために過去検証をする必要があります。

今回は売買演習なので立派な手法である必要はありませんが、ある程度の勝率の手法を採用する必要があります。(40%〜50%でいいと思います)

④演習を始める

①〜③までを全て終えたら、売買演習に移ります。

売買演習では最低でも20トレードを自分の優位性に厳格に従って行う必要があります。

簡単に聞こえますが、20トレードを全く同じようにトレードするのかなり難しく、途中で規則から外れたエントリーをしたくなったり、エントリーをためらってしまいたくなることもあります。

しかし、どれだけ時間がかかっても20トレードを達成した先に、確率的思考法がアイデンティティの一部になった自分がいることでしょう。

感想

以上が、「ゾーン:相場心理学入門」に関する概要になります。

FXを始めたての頃はルールの一つも持たずに、都合の良いテクニカル分析をチャートに当てはめて無謀なエントリーをしてしまったり、損切りをためらってしまったことがたくさんありました。

しかしこの本に出会ったことで、FXに関する考え方が根本から覆りました。

実際に僕も現在進行形であらかじめ決められた売買ルールに基づいて資金を運用しており、このブログでは資産グラフを1週間ごとに更新しています。

これからもFXに関する書籍を紹介していくので、楽しみにしていてください!

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